フラッシュチャット・昼から「これ正解!」・ウミガメのスープで「社会人基礎力」と「新入社員の心得」を楽しく身につける方法
「座学だけじゃ定着しない…」「もっと新入社員が主体的に動いてくれたら…」そんな悩みを抱える研修担当者や講師のみなさん、多いんじゃないでしょうか。
社会人基礎力や新入社員の心得は、テキストを読んで頭に入れるだけでは、なかなか自分のものになりません。大切なのは「体験」と「対話」。実際に動いて、話して、考えることで初めて血肉になっていくもの。
この記事では、IT業界の新入社員研修で実践している3つのアクティビティ(フラッシュチャット・昼から「これ正解!」・ウミガメのスープ)を、目的・概要・効果・注意点まで丸ごと紹介します。いずれも新入社員が主役となって場を回す設計になっているので、受け身になりがちな研修を一気に「参加型」に変えられます。
この記事を読めば、明日からでも研修に取り入れられるアクティビティのヒントが得られます。ぜひ最後まで読んでみてください!
目次
- 3つのアクティビティ|全体像と位置づけ
- ① フラッシュチャット(高速ブレインストーミング)
- ② 昼から「これ正解!」(合意形成)
- ③ ウミガメのスープ(ラテラルシンキング)
- まとめ|3つを組み合わせることで生まれる相乗効果
3つのアクティビティ|全体像と位置づけ
今回紹介する3つのアクティビティは、社会人基礎力(前に踏み出す力・考え抜く力・チームで働く力)と、新入社員の心得20ヶ条を題材に設計されています。
単なる「ゲーム」ではなく、それぞれが異なる思考の筋肉を鍛える構成になっているのがポイントです。フラッシュチャットで「量を出す力」、昼から「これ正解!」で「合意をつくる力」、ウミガメのスープで「固定概念を外す力」を育てます。
3つを朝会・昼会などの短時間セッションに組み込むことで、中長期の研修期間を通じて、社会人基礎力と新入社員の心得を日常的に意識する習慣が生まれます。
① フラッシュチャット(高速ブレインストーミング)
目的
フラッシュチャットの目的は大きく2つ。「朝から脳を高速起動する」こと、そして「多様な考えにふれて自己理解・他者理解を深める」ことです。
人は話す順番が来るまで「何を言おう」と考えます。その短い時間に無意識の思考が動きます。それを繰り返すことで、思考のスピードと幅が広がっていきます。
概要
実施方法はシンプルです。講師がお題を提示し(例:「主体性」と言えば?)、参加者が社員番号順に1人ずつチャットへ単語を投稿します。制限時間は3分。とにかく量を出すことが目標で、重複してもOK、浮かばなければ「パス」もOKです。
時間が終わったら、講師が気になった回答を2〜3件ピックアップして「なぜその言葉が浮かんだ?」と短くヒアリングします。このヒアリングタイムが、実は最も学びの深い時間になります。
効果
フラッシュチャットには、「発言することへの心理的ハードルを下げる」という副次的な効果があります。毎朝繰り返すことで、意見を出すことが「当たり前」の文化が育ちます。また、同じお題でも人によってまったく違う言葉が出るため、仲間の価値観や思考スタイルへの気づきも生まれます。
注意点
最初の数回はどうしても盛り上がりにくいもの。最初はウォームアップ系のお題(例:「好きな食べ物」「青と言えば?」)から始めて場を温めるのがおすすめです。
また、パスを「恥ずかしいこと」と感じさせないよう、事前に「パスは全然OK!次の方どうぞ」と明言しておくことが大切です。テンポが命のアクティビティなので、1人が長考すると全体のリズムが崩れます。講師が「次の方〜」と軽く促しながら進めましょう。
② 昼から「これ正解!」(合意形成)
目的
昼から「これ正解!」の目的は「合意形成の練習」と「ファシリテーション能力の向上」です。業務のミーティングで毎日使うスキル——意見を聴いて・整理して・まとめる力——を、安全な研修の場で体験することがねらいです。
ディベート(勝ち負けを競う議論)ではなく、「みんなで正解をつくる」というスタンスが核心です。この違いを体感することで、ミーティングへの臨み方が根本から変わります。
概要
YouTube「QuizKnock」の人気企画「朝からそれ正解!」をベースにした合意形成ゲームです。講師がお題を提示し(例:「あ」から始まる「主体性がある」行動は?)、参加者(5〜8名)が全員で考えて、1つの「正解」を選びます。
ポイントは新入社員がファシリテーターを担うこと。発言を促し、意見を整理し、全員の合意を取りつける役割を持ち回りで経験します。時間の目安は1問あたり10〜15分。2〜3問こなすと議論の質が上がってきます。
効果
「自分の意見を言うだけ」から「チームで答えをつくる」という思考の転換が生まれます。また、ファシリテーターを経験することで「場をまとめる難しさ」を肌で感じ、業務ミーティングへの理解が深まります。
さらに、同じお題でも人によって正解が違うことで、意見の一致点・共通点・改善点が浮き彫りになります。「なぜその答えなのか」の議論こそが、社会人基礎力の言語化につながります。
注意点
一番気をつけたいのは、ディベートになってしまうこと。「私が正しい」「あなたが間違い」という構図になったら、講師が「どちらの意見がみんなに伝わりやすいかな?」と方向を変える声かけを入れましょう。
また、ファシリテーターが詰まったときは過度に介入せず、「今の状況を整理すると…」と軽くサポートする程度に留めましょう。失敗も大切な学びです。「全員が発言できていたか」「少数意見は尊重されたか」を振り返りで問うことで、次回の質が上がります。
③ ウミガメのスープ(ラテラルシンキング)
目的
ウミガメのスープの目的は「水平思考(ラテラルシンキング)の体験」と「質問力・チームワークの向上」です。普段の私たちは「知っていること」「経験したこと」の範囲で物事を考えがちです。このアクティビティは、その枠を意識的に外すトレーニングです。
概要
出題者(講師または新入社員)が「一見不思議な状況」を読み上げ、回答者たちが「はい」「いいえ」「関係ない」の3択で答えられる質問だけを使って、その状況の真実を明らかにします。
たとえばIT系の問題では、「バグを直したら上司が青ざめた。なぜ?」というお題に対して、「テスト環境での話ですか?」「本番環境に影響しましたか?」と質問を重ねながら、真実(本番と開発の環境を取り違えた)に迫っていきます。
時間は1問20〜30分が目安。問題にちなんだ振り返りシートを使うと、学びをより深く定着させられます。
効果
「こんな見方もあるんだ!」という驚きが、思考の柔軟性を育てます。社会人基礎力でいえば、課題発見力・創造力・情況把握力の鍛錬に直結するアクティビティです。
また、「はい・いいえ」だけで進めるという制約の中で、「本質を突く質問をする力」が磨かれます。「なんでも聞けばいい」のではなく「何を聞けば核心に迫れるか」を考える経験は、業務での質問力・ヒアリング力に直接つながります。
注意点
問題の難易度設定が重要です。初回はヒントを多めに用意した易しい問題から始め、参加者が「質問の仕方」を掴んでから難易度を上げていくのがおすすめです。
答えに辿り着けなかったときも「惜しかった!」ではなく、「どんな思い込みが邪魔をしていたか」を振り返ることが最も大切な学びになります。正解に辿り着くことより、「なぜ気づけなかったか」を言語化する時間を必ず確保しましょう。
まとめ|3つを組み合わせることで生まれる相乗効果
今回紹介した3つのアクティビティを整理するとこうなります。
フラッシュチャットは「量を出す・スピードで考える」、昼から「これ正解!」は「質を高める・合意をつくる」、ウミガメのスープは「常識を外す・本質を問う」という異なる思考の筋肉を鍛えます。
3つを組み合わせることで、「発言する習慣→意見をまとめる経験→固定観念を外す感覚」という段階的な成長サイクルが生まれます。特定の一つだけを使うより、組み合わせることで相乗効果が生まれるのがこの設計の最大の特徴です。
いずれも短時間で実施できるアクティビティです。まずは気軽に1つだけ試してみてください。新入社員が主体的に動き、自然に笑顔が生まれる研修の空気は、きっとあなたの期待を超えてくれるはずです。
思い込みを外せば、答えは見えてくる。まず口を開けば、思考は動き出す。みんなで正解をつくれば、チームは強くなる。
この3つのアクティビティが、あなたの研修に新しい風を運んでくれることを願っています!
