「既存のJSPシステムが重い…」「JavaScriptのテンプレートリテラルとEL式が衝突して困っている…」
もしあなたが、そんな悩みを抱えるシステムエンジニアなら、この記事はきっと役立つはずです。
初めまして、IT業界のブログ編集長であり、長年のシステム開発経験を持つ筆者が、JSPの「過去」と、モダンなWeb開発へのスムーズな「未来」を提示します。
この記事では、JSPの基礎知識から、なぜ今、別の選択肢が主流になっているのか、そして既存のJSPシステムをリスクなく段階的にモダナイズしていく具体的な手順を解説します。
この記事を読めば、JSPとの付き合い方が明確になり、明日からあなたの開発を大きく改善するヒントが得られるでしょう。
目次
- JSP(JavaServer Pages)とは?その「栄光の時代」を振り返る
- JSPが「オワコン」と言われる理由:時代が求める技術シフト
- JSPから卒業するための第一歩:Strangler Figパターンで段階的に移行する
- 実践例:JSPにReactコンポーネントを埋め込む具体的な手順
- 移行戦略を成功させるための注意点とコツ
- まとめ:JSPの過去を知り、未来を築く
- キャリアを次のステージへ:無料キャリア相談のご案内
JSP(JavaServer Pages)とは?その「栄光の時代」を振り返る
Web開発の世界は常に進化していますが、JSPは日本の多くのシステムで長年にわたり主役を張ってきました。
JSPは、HTMLの中にJavaのコードを埋め込み、動的なWebページを生成するための技術です。
サーバー側でページをレンダリング(生成)するため、当時流行していた「サーバーサイドレンダリング」の代表格でした。
JSPの主要な機能:ELとJSTL
-
EL(Expression Language):
${user.name}
のように、JSPファイル内でJavaの変数を簡単に表示するための記法です。これにより、スクリプトレット(<% %>
)を減らし、コードの可読性を向上させました。 -
JSTL(JSP Standard Tag Library):
<c:forEach>
や<c:if>
などのタグを使って、Javaの制御構文をHTML内に記述できるようにした標準ライブラリです。これもまた、JSPファイルの可読性を高める目的で広く利用されました。
JSPが「オワコン」と言われる理由:時代が求める技術シフト
JSPは多くのプロジェクトで活躍しましたが、現代のWeb開発では新規に採用されることは少なくなりました。その主な理由は、以下の技術トレンドへの対応が難しいからです。
- クライアントサイドレンダリングの台頭:ReactやVue.jsといったJavaScriptフレームワークが普及し、ブラウザ側でUIを動的に構築する手法が主流になりました。これにより、サーバーはUIではなく、データ(JSON)を返すことに専念するようになりました。
- フロントエンドとバックエンドの分離:JSPでは、HTML生成とビジネスロジックが密結合しているため、開発の分業やマイクロサービス化が困難です。現代では、バックエンドはREST APIなどを提供するサーバーとして独立させるのが一般的です。
-
記法の競合問題:ご存知の通り、JSPのEL式
${}\とJavaScriptのテンプレートリテラル\{}
が同じ記法であるため、ファイル内で両者を混在させると構文エラーが発生します。この小さな問題が、開発体験を大きく損なう原因の一つとなっています。
JSPから卒業するための第一歩:Strangler Figパターンで段階的に移行する
では、すでに稼働している大規模なJSPシステムを、どうやってモダンな構成に移行すれば良いのでしょうか。
すべてを一度に書き換える「フルリプレース」は、リスクが大きすぎます。そこで有効なのが、「Strangler Figパターン(絞め殺しのイチジク戦略)」です。
これは、既存のシステムを新しい技術で少しずつ置き換えていく方法です。
具体的な手順:5つのステップ
この戦略は、以下の5つのステップで実行します。
- バックエンドのAPI化:JSPに埋め込まれているデータ取得やビジネスロジックを、独立したREST APIとして切り出します。Spring Bootなどを使って、JSONを返すエンドポイントを作成しましょう。
-
JSPにマウントポイントを設置:JSPファイル内で、Reactで置き換えたいUIの部分に
<div id="react-app"></div>
のような空の要素を設置します。 - Reactコンポーネントを開発:分離したAPIからデータを取得し、UIをレンダリングするReactコンポーネントを開発します。
-
JSPからReactを読み込む:WebpackやViteでビルドしたReactのJavaScriptファイルを、JSPから
<script>
タグで読み込みます。 - 置き換えを繰り返す:このプロセスを繰り返して、徐々にJSPのUIをReactに置き換えていき、最終的にはJSPをルーティングやリダイレクトにのみ使用するようにします。
この方法なら、サービスを停止することなく、徐々にシステムのモダン化を進めることができます。
実践例:JSPにReactコンポーネントを埋め込む具体的な手順
実際にJSPファイル内にReactのUIを埋め込む方法を見ていきましょう。
この例では、ユーザー一覧をJSPでレンダリングしていた部分をReactに置き換えることを想定します。
1. JSPファイルの修正
既存のJSPファイルから、ユーザー一覧を表示していた部分のHTMLを削除し、代わりにReactのマウントポイントとなるdiv
タグを追加します。
<%-- 既存のJSPコード --%>
<h1>ユーザー管理画面</h1>
<div id="react-user-list"></div> <!-- Reactコンポーネントをここに埋め込む -->
<%-- 既存のJSPコード --%>
2. Reactコンポーネントの作成
新しいUserList.jsx
ファイルを作成し、APIからデータを取得して表示するReactコンポーネントを実装します。
import React, { useState, useEffect } from 'react';
import ReactDOM from 'react-dom/client';
function UserList() {
const [users, setUsers] = useState([]);
useEffect(() => {
// バックエンドのREST APIからデータを取得
fetch('/api/users')
.then(response => response.json())
.then(data => setUsers(data));
}, []);
return (
<table>
<thead>...</thead>
<tbody>
{users.map(user => (
<tr key={user.id}>
<td>{user.id}</td>
<td>{user.username}</td>
</tr>
))}
</tbody>
</table>
);
}
// JSPページのマウントポイントにレンダリング
const container = document.getElementById('react-user-list');
if (container) {
const root = ReactDOM.createRoot(container);
root.render( );
}
この実践例のように、データ取得をAPIに任せ、UI構築をReactに任せることで、JSPの呪縛から徐々に解放されていきます。
そして、元々あったJSPのデータ表示ロジックは、このReactコンポーネントに置き換わります。
移行戦略を成功させるための注意点とコツ
段階的な移行をスムーズに進めるためには、以下の点に注意が必要です。
- ルーティングの二重管理:JSPが持つURLとReact Routerが管理するURLが混在する期間が発生します。これは、サーバーサイド(Spring MVCなど)で特定のパスをReactアプリにリダイレクトするなどの対応が必要です。
- 認証・セッション管理:JSPはサーバーサイドセッションに依存しますが、Reactはトークンベースの認証が主流です。移行中は、JWT(JSON Web Token)などを活用し、両者で共有できる認証基盤を構築すると良いでしょう。
- JSPの呪縛から解放される:EL式とJavaScriptのテンプレートリテラルの競合は、移行の大きな動機です。この問題を根本的に解決するためにも、HTML生成をJSPからReactへ切り替えていくことが重要です。
まとめ:JSPの過去を知り、未来を築く
JSPは過去の技術かもしれませんが、多くのシステムで今も稼働しています。
大切なのは、**「過去を否定するのではなく、未来をどう築くか」**という視点を持つことです。
JSPのサーバーサイドレンダリングから、APIとクライアントサイドを分離した現代的なアーキテクチャへの移行は、一朝一夕にはいきません。
しかし、今回解説した「Strangler Figパターン」のような段階的な戦略を用いることで、リスクを最小限に抑えながら、あなたのシステムとキャリアを次のステージへと進めることができます。
キャリアを次のステージへ:無料キャリア相談のご案内
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